2025.4.22採用戦略は、トレードオフ─「全部ほしい」ではうまくいかない
先日、大手医療法人グループ様よりご依頼をいただき、「成果につなげる看護師確保対策・成功事例の共有」と題して講演の機会をいただきました。
その中で、「採用戦略」について以下のようなお話をさせていただきました。
採用戦略は、トレードオフ─「全部ほしい」ではうまくいかない
医療機関や介護施設が採用活動を行う背景は、さまざまです。
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職員の退職による欠員補充(1〜2名程度)
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ベッド稼働率向上のための人員増員(5名程度)
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新規事業・新施設オープンによる大規模採用(10名以上)
このような募集背景に応じて、採用活動において何を優先するべきかが変わってきます。その際に参考になるのが、「QCD」のフレームワークです。
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Q(Quality:品質)= 応募者のスキル・経験を重視。「良い人がいれば採用したい」
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C(Cost:費用)= 採用にかかるコストを抑えたい。「できるだけ安く採用したい」
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D(Delivery:納期/人数)= 採用人数・スピードを重視。「急ぎで何人も採用したい」
多くの施設がこのQCDのいずれか、あるいは複数を満たしたいと考えますが、ここで重要なのが「トレードオフの原則」です。
採用がうまくいかない理由は、トレードオフを無視しているから
QCDは本来、一つを優先すれば他の二つはある程度犠牲にしなければならないという関係にあります。にもかかわらず、採用活動で失敗しているケースの多くは、「良い人を、早く、安く採用したい」という、“全部取り”の方針になってしまっていることに原因があります。
特に知名度がそれほど高くない施設の場合、このトレードオフを無視したままでは、採用がうまくいかないのは当然と言えるでしょう。
具体的にどう選択するべきか
Q(品質)を重視する場合
「経験豊富な人材を採用したい」「即戦力がほしい」といった方針であれば、コスト(C)やスピード(D)をある程度妥協する必要があります。
たとえばリファラルリクルーティング(職員紹介)などは良い人材を集めやすい方法ですが、大量採用や短期間での成果は見込みづらい傾向にあります。人材紹介会社に依頼する場合も、スペックが高い人材ほど紹介までに時間がかかることを理解する必要があります。
C(コスト)を重視する場合
「とにかく採用費を抑えたい」という場合、スピード(D)や人材の質(Q)はある程度割り切る必要があります。
ハローワークや低価格帯の求人媒体を中心に使う場合は、応募の母数を増やすためにも、「未経験者歓迎」「ブランクOK」などターゲット層を広げることが重要です。
D(納期・人数)を重視する場合
「〇月までに10名採用したい」といった場合は、人材紹介サービスや有料求人広告などへの投資(C)を惜しまず、ターゲット像(Q)も柔軟に考える必要があります。
「お金をかけるからにはハイスペックな人材だけ」と絞りすぎると、納期内の採用が難しくなるのは言うまでもありません。
採用戦略におけるトレードオフを、今こそ見直すべき
もし今、採用活動に課題を感じているのであれば、自院・自施設の方針がトレードオフの原則に沿っているか、あらためて確認してみてください。
特に「知名度がそれほど高くない施設にもかかわらず、コストをかけず、短期間で多数の人材を採用する」という目標を求められている場合は、経営陣と方針のすり合わせが必要です。採用担当者だけの努力では限界があります。
採用は、戦略です。
そして戦略には、優先順位と決断が欠かせません。
QCDのどこを優先すべきかを明確にした上で、適切な施策を選択し、PDCAを回していくことが採用成功の第一歩です。
採用戦略の見直し・設計をご相談されたい方へ
当社では、医療機関・介護施設様向けに、採用ブランディング支援や採用サイト制作、媒体戦略の設計などをトータルにご支援しています。「自院の採用戦略を整理したい」「採用がなかなかうまくいかない」といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
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